レポート:『革製ブガッティー型2本手BAG製作』

LINEで送る

Bagyard主催、第43回勉強会『革製ブガッティー型2本手BAG製作』が、7月〜8月の土曜日(全4回)に開催されました。今回の勉強会は中級者対象の本格的なBAG作りなので、ご自身のブランドを持つクリエーターや数年間のバッグ作りの経験がある方6名にご参加いただきました。講師には、BAGはもちろん、複雑な曲線のレザークッションや、リアルな雰囲気の素材を使い存在感を表現しながらも、デフォルメした愛嬌のある動物のぬいぐるみ製作をされている金田日出秋氏をお招きしました。会場も目黒区碑文谷の金田氏のアトリエをお借りしました。4日間の内容を簡単にまとめレポート致します。

1日目 :7月8日(土) 金田氏アトリエ
初日、6名の方それぞれが作りたい革を担いで金田先生のアトリエを訪れたました。金田先生は挨拶のあとすぐに、革の厚みや硬さなど、みなさんの革の特徴をチェックされていました。今回のブガッティ型は、ひっくり返しが大変なデザインなので、素材選びも重要な課題でした。革は6月30日〜7月1日に開催された『革よろず市』で、バッグヤードのスタッフと相談しながら手頃な価格の革を購入された方が多かったようです。(革よろず市の記事は→コチラ

勉強会が始まり簡単な自己紹介の後、まずはものづくりの考え方を教わりました。


みなさん面食らったのが、デザイン画の制作からスタートした事です! 金田先生はイメージしたものが形になるまで全てが『ものづくり』であると考えられいるので、ご自分が製作されるぬいぐるみもイメージ画を描かれています。現在製作中のロバの絵型も見させていただきましたが、雰囲気が伝わってくる素敵な絵でした。
次に、金田先生はブガッティ型サンプルBAGを全員でじっくり見た後、それを一度隠します。その後15分〜20分程度の時間を使い、シルエットやディテールを思い出しながら静かに絵型を製作…。みなさん苦手だと言われていましたが、フォルムなど全体のイメージはしっかり特徴を捕えて描かれていました。持ち手の角度や付け根部分(関東では根革、関西ではモモ革と呼ぶ事が多い)が難しかったようですが、金田先生は思っていた以上に良く描かれていると褒めていましたのでひと安心 ♪

絵型制作の次は、図面制作に移ります。ヨコ、タテ寸法を決め、それぞれのイメージするアール(R=曲線)を実寸大で図面に書き込みます。金田先生はセンターラインに正面図、側面図を一緒に書く方法で、底面コーナーは20Rにしていました。みなさんもお手本の図面、サンプルと自分の描いた絵型を確認し、何度もラインを修正しながらも集中して書いていました。この時点でRの大きさ、持ち手の間隔、根革の大きさなど個性が出ていて、すでにみなさんそれぞれのイメージのブガッティ型となってきています。ここまでで午前中が終了です。

午後はファスナーの種類、針の種類、縫い代の距離などの説明の後、いよいよ革部分の型紙制作に入ります。基本通り、胴板はセンターで折れる様にして作りはじめ、革質により切目で仕上げる方と、ヘリ返しで仕上げる方とに分かれます。難しいのはやはり側面の合わせ部分と、下の曲線の回り込みの寸法の出し方などでした。胴板と底のつなぎのラインが、広がりが出て綺麗な立体に見える様に、胴版の側面のライン、いせこみの寸法、玉取りの太さなどを、一人一人回られて丁寧に教えられていました。みなさん作業は手慣れていてスムーズに進められていたと思います。

型紙終了後、革の裁断へと進みます。革の伸び方向を考え向きや位置を決め、前胴、背胴、底、持ち手、根革、玉、芯材などを断つ作業を行います。

本体部分の革裁断の様子

芯材や接着剤の簡単な説明の後、本体に貼る芯材や、持ち手の作り方など、次回につながる重要な部分の説明がありました。特に持ち手の芯材作りは、普通の商品ではあまり行わない金田先生ならではのこだわりのある作り方です。丸手の中に入れる芯を、ゴム芯やガラ芯(手紐芯)などを使わずに、ヌメ革を貼り合わせて作り、さらに丁寧に角を削り8mm厚の丸型の革芯に仕上げるという大変な内容です。金田先生の良い製品を作るこだわりと、技術を伝えたいという熱意がとても感じられました。金田先生自ら厚口ヌメを何本も細く裁断し手渡し、作り方を説明してこの革芯作りを宿題としました。

革紐芯製作の様子

裁断が終わらなかった部分も、みんなで同じ位置から次回(2日目)始められる様に、各自仕上げてくる事になりました。

2日目 :7月22日(土) 金田氏アトリエ

完成した革部分の型紙の後の工程から2日目が始まりました。裏地と芯材の型紙の作り方を、裏地が革の切目仕上げの場合と、生地を使ったヘリ返しの場合の作り方の違いと寸法の出し方を丁寧に説明されていました。まずはセンターラインをはっきり決め裁断をした革に裏打ち(不織布のワッペン貼り)を行います。貼り方は、ワッペン芯の裏側の紙部分のみセンターで切り、重りでしっかりと固定したあと、片方ずつ剥がし丁寧に貼リます。硬い芯材のレザーボードは、ゴム糊で貼リます。段差は漉き(0漉き)をかけ無くします。革と芯材を貼り合わせた場合、出来上がりイメージと革の厚みを意識し、個人の感覚で何ミリにするか決める事が大切だそうです。側面に内側に回り込む部分があるので、型紙を立てて出来上がりのラインと同じ様に曲げてみて、何ミリぐらいの誤差ができるか試し、芯材が大きくなりすぎない様に控えながら型紙の大きさを決めます。裏地が革の場合は大きく作り後でカットします。裏地部分の型紙も同様に、はみ出さない様に仕上がりを考えて数ミリ単位のライン調整をして作ります。

型紙一覧
芯材製作

ハンドルの作り方はヘリ返しと、切目で大きく異なります。ヘリ返しの場合7mmヘリを取るので、1.5mmの所にめがけて返して行きます。凸凹にならない様に注意して下さい。(1.5mmの所に線を引いても良い)切目の場合芯材を入れ中央に糊を付けて貼り合わせます。きついぐらいの所を縫う様にします。ステッチをかけ、残った所を後で裁断します。今回持ち手は手縫いで仕上げました。

底と各パーツの裁断に移ります。は5mm芯が入った時のサイズの1/4サイズを計り4倍サイズで長さを決め、輪に貼って行きます。楕円のマーク部分はセンターラインを決め裁断します。革引き手は南京錠の止められる穴の入った形で作ります。

持ち手を胴板に付ける部分までで2日目終了です。根革には最初に手縫い用の穴を開けておき、胴板の根革部分とマーク部分は、接着しやすい様に革を包丁で少し削っておきます。持ち手を胴板に取り付けて仕上げる事と、底板も作り込んでくる事の2点が次回(3日目)までの宿題となりました。

3日目 :8月5日(土) 金田氏アトリエ

みなさん宿題部分を進めてきていよいよ形になってきました。今回はファスナーのサイズを決め、ファスナー作りに入ります。ファスナーサイズの決め方、ファスナーのムシの調整、先端の生地の2mmぐらい残すなどファスナーの作り込み方を学び、本体に貼り込んでいきます。

ファスナーの長さ調整
ファスナーの貼り込み

そして裏地も貼り、底と合わせてまとめていきます。

底のまとめ

独特の曲線なので貼り込みも縫製も難しいです。

縫製

底がしっかりしているのに口が狭いので返しも大変な型なので、みなさんさすがに苦戦していました。残りは宿題となり、4日目の講評会に、完成させて持参する事になりました。

4日目 :8月26日(土) 代々木公園カリテ

最終日はBagyardの拠点である代々木公園カリテにて、みなさんの完成品を持ち寄り講評会を開催しました。金田先生に加え、Bagyardの講師をいつもお願いしている「渡邊鞄」の代表の渡辺氏、(有)ジオミウラ代表の三浦氏をお迎えし、ご意見をいただきました。

講評会の様子
発表の様子

みなさんには自己紹介と、今回の製作で気づいた事、大変だった事を発表していただきました。
金田先生からは一点づつ、それぞれの良いところ、修正が必要なところなどの講評がありましたが、
”予想以上にみなさん良く出来ている” との言葉をいただき、みなさんホッとして笑みがこぼれ
ていました。完成度を高めるための素材選び、進め方、細やかな技法などについても解説をいただきました。

みなさん渡辺氏、三浦氏にも個々に、色々な質問をされ、難しかった部分の作り方など教わり、賑やかな講評会となりました♪ それにしても同じ型のBAGがそれぞれに選んだ革で、別々の作り手によって作られ何本もディスプレイされているのはなかなかの迫力です!

ブガッティ作品

4日間にわたるレベルの高い勉強会の内容は、今後のみなさんのBAG製作に役立つことと思います。
今回は、こだわった作りの少数生産向きの難しい部分もありましたので、なかなか普段教わる事が出来ない内容だったと思います。きっとみなさんが製作するものの、それぞれの方向性に合わせて活かし、レベルをどんどん上げていって下さることでしょう!!

講評会の後懇親会も開かれました ♪♪

今後も引き続き勉強会、ワークショップなど革好きの皆様のお役に立てる情報を、Bagyardホームページ、facebookにて発信して行く予定です。facebookトップページいいねしていただけると、早く情報をお伝えできると思いますのでよろしければお願い致します♪

 


 

金田先生、サンプル作りなどの準備からの長い期間お疲れ様でした!! 勉強会の会場としてアトリエをお借りし、個性的なぬいぐるみなどの作品を見させていただき参加者も大変勉強になったことと思います。本当にありがとうございました!!『ものづくり』の難しさと楽しさを改めて感じました。渡辺氏、三浦氏もご貴重なご意見ありがとうございました!!

バッグヤードでは、皆さんの学びたい“こと・もの”のリクエストを受け付けております。ご希望内容をメールにてお送りください。実現可能なものからカリキュラムとして企画していきたいと考えています。info@bagyarad.jp

LINEで送る