第35回BagYard勉強会 「バッグ&小物業界 トレンドセミナー」まとめ

LINEで送る

第35回BagYard勉強会
「バッグ&小物業界 トレンドセミナー」まとめ

第35回バッグヤード勉強会が開催されました。
今回もB.A.G. Number編集長の川崎智枝さん、B.A.G.Numberディレクターの鈴木清之さんに
多方面から分析した次のトレンドを軽快な掛け合いトークと共にお話しいただきました。
以下、川崎さんより当日お話しいただいた内容を分かりやすく画像を交えてまとめていただきました。

—————————————————

IMG_7565crop
2016年8月3日、BagYardさん主催の「バッグ&小物トレンドセミナー」を、15時と18時の2回にわたって、奥渋谷のレンタルスペース「qualite(カリテ)」にて開催させて頂きました。
B.A.G. Number編集長の川崎智枝、B.A.G.Numberディレクターの鈴木清之氏とともに、パネリストをさせていただきました。
私たち二人は、「B.A.G. Number」というバッグや服飾雑貨に関するwebマガジンを立ち上げております。
こちらにアップしてきた情報なども含め、肌感覚でいまのマーケットから感じられる情報を噛み砕いてお伝えしていきたいと思います。

◆「BAG Number」バッグナンバー http://bagnumber.tokyo/

image1
以下、その時のセミナー内容をまとめさせて頂きましたので、ご参考にして頂ければ幸いです。

【1】2016年 マーケットの中にみる「○○レス」

私たちならではの、「2016年をどうとらえるか」という視点を考えるにあたり、「○○レス」という言葉が巷で増えていることに気づきました。
ファッションもライフスタイルも、そしてバッグも。様々なことが「○○レス」。ピックアップしているうちに、これが最近の傾向なのではないかと思って注目してみました。

①    ジェンダー  ⇒ ジェンダー「レス」
まさに今季のコレクションのシーズンテーマにもなった「ジェンダーレス(性差がないこと)」。以前は「マニッシュ」とか「ユニセックス」とか呼んでいて、比較的「女性が男性ぽい服を着る」というニュアンスが強かったように思います。
ただ最近では「女性→男性」「男性→女性」の双方を呼ぶことが増えてきました。より“ジェンダーレス化”が進んでいるようです。特に男性が女性らしいシルエットのワンショルダーやトートを持つことが一般的になっています。

②    シーズン  ⇒  シーズン「レス」
かなり前から広がっている傾向ですが、明確な「季節感」が薄まり、年間でずっと持てるベーシックなアイテムの人気が続いています。季節性は少しだけカラーや素材感で表現する程度で、光沢素材もナイロンもエナメル系なども年間を通じて売れるようになりました。
とはいえ、カゴやファーが悪いかというと実はそんなことはなく、今年は意外と持っている人があ目立ったシーズン。年間定番アイテムと季節素材とを、上手に使い分けている人も少なくありません。

③ルール   ⇒  ルール「レス
「これはこういう風に着るもの」、「バッグと靴とベルトの色は合わせるもの」といった暗黙のお約束のようなものがなくなっています。「TPO」の概念ももしかしたら死語になってしまったかもしれません。
自分の自由にコーディネイトを楽しみ、マイ・ルールを作っている若いひとたちも増えてきました。ものづくりも思い込みに囚われず自由な発想が必要になっています。

④ イメージ価格 ⇒ プライス「レス」
「プライスレス」といっても、某カード会社のキャッチコピーではありません。かつては“この位の商材であればこのくらいの価格帯であろう”という、漠然とした商品に対するイメージ価格(リスペクト価格)というものがありました。
けれど今は古着やレンタルなどの新しいサービスが広がり、定価に対してこういうものだという思い込みは、若い人を中心に払拭されつつあります。人それぞれの頭の中にある、「コストパフォーマンス(コスパ)」を重視する傾向が強く出てきました。
コスパは決して安ければ良いということではなく、その人が「着回し重視」なのか「長く使える重視」なのか「1シーズンでOK」なのかでまったく変わります。顧客それぞれのアタマのなかをイメージする必要があるでしょう。

⑤テイスト ⇒ テイスト「レス」
商品には必ず備わっていた、「素材のニュアンス感」や「味わい深さ」。それらをひっくるめての“テイスト”が、徐々にバッグに減っている気がします。あえてツルっとした表面感、革なのに合皮のような質感、または高価な素材にがっちり押した型押し加工。
たしかに“ジェンダーレス化”している最近では、甘さや辛さなどのテイストをあえて出さず、シンプル&ベーシックの流れにはぴったりの素材感かもしれません。「テイストレス」を後押ししているのが「ジェンダーレス化」とも言えそうです。
⑥ フォルム感 ⇒ フォルム「レス」
ソフトなアイテム、というニュアンスとも違い「フォルム感」のあるものが徐々に少なくなっていると言えます。芯をあえて外したり、カタチのない“くったり”したシルエットにするほうが身体に沿ってコーディネイトを邪魔しないということもありそうです。
逆に、かっちりしたスクエアなミニショルダーを肩掛けする流れも、まだ継続していることを考えれば、かっちり&くったりを使い分けしているのかもしれません。

⑦  バランス ⇒ バランス「レス」
ファッションにおける「バランス」というと、裾丈や長さ、ボリューム感など“このくらいがバランスが良い”とされるラインがあると思います。けれど今はそれも飛び越えて、巨大な「エクストリームシルエット」「重ね着の裾を思いっ切り出す」といった、昔ならNGだったバランスがおしゃれへと変わってきていると言えます。
バッグでも「斜め掛け→肩掛け」へとショルダーの持ち方が変わったことは、画期的な変化だったかもしれません。これからも「何かバランスが変?」と思ったことがメインストリームになる可能性があるかもですね。

さて、ここまで7つの「○○レス」を出してみました。「○○レス」=「~がない」と単純に考えるのではなく、今までの固定概念からシフトする時には、まず一度なにかを「リセット」する動きが必要不可欠なのかもしれません。

とはいえ逆に、「揺り戻し現象」も起こってきました。
ベーシックなファッションに、プラスオンする形で「フリル、レース、ピンヒール」といった女らしさを不可する流れだったり、バッグにフリルを付けたりリボンをあしらったりする傾向が表れています。(次項の写真参照)
また今まで迷彩以外はほとんど見当たらなかったプリントやカラフル系、ビッグアイテムなども、少しづつ支持されています。秋には従来のトレンドの変化に期待したいところです。

【2】「上半期ベスト10から読み解く、2016秋冬のヒットアイテム予測 ベスト5」
BAG Numberで人気のコンテンツ「2016年上半期ベスト10」を分析し、今年秋冬のバッグ傾向を読み解きます。また豊富なタウンウォッチングのデータを通じ、マーケットで今期注目されるフォルムや素材、スタイリングなどのベスト5を予測します。

2016年春夏 上半期ランキング →→ 2016年秋冬へのシフトと変化
1位:リュック(スクエア型) リュックは変わらず継続。ただ大型、スクエアから小型化へ
2位:シンプルトート LLビーン型やシンプルな2wayタイプが人気。年間を通じたアイテムに
3位:エルヴェシャプリエ 90年代の懐かしブランドが復活。他にもウプラ、ハンティングワールドなども注目
4位:きれいめカゴ 季節素材であるカゴが良かったので、秋冬はファーに期待がかかる
5位:フリル、フリンジ 日本人女性が好きな甘めディテールが揺り戻し。バッグで取り入れる傾向が強い

実際にセミナーで使用した写真はこちらです。

1位 リュック(スクエア型)→小さ目へ

image2-horz➡➡ image4-horz

 

2位 シンプルトート

to2

 

3位 エルヴェシャプリエ

to3
4位 きれいめカゴ→ファーへ

to4
5位 フリル、フリンジ

to5

 

 

 

【3】2016年 バッグ&革小物マーケットのキーワード
1.「90’sリスペクト」
・ノームコアの揺り戻しで、シンプル一辺倒から“ちょいダサ”なスパイスを加える90年代テイストが登場。特に40、50代にとって懐かしいブランドが復活。
・「デルカジ(モデルカジュアル)」「大人ディスコ」といったキーワードも浮上している。

2.「新デコラ主義」
・秋冬のコレクションではキーワードとなっている「スポンテニアス」。自発的な、という意味で、コーディネイトなど自分で自由自在に楽しむという人たちが拡大。日本人女性が好きな“可愛いディテール”復活
・またオタク女子たちの“痛バッグ(缶バッジをつけまくるバッグ)”にみる過剰感も、ひとつのデコラ主義と呼べそう

3.「カスタム&DIY」
・「買う」から「作る」を志向してきたユーザーたちが拡大。ハンドメイドマーケットも盛り上がりをみせ、「CtoC」サイトの「クリーマ」や「ミンネ」などが台頭。
・自作アクセ、リメイクの人気。また売り場でもバッグをカスタムオーダーする動き

4.「ファッションからの乖離現象」
・「好き」を軸とした新しい“ファッションアイテム”を求める動きが高まってきた。トレンドや服とのつながりは置いといて、あくまでも好きなものを購入する。
・ミントグリーンやパステル系などの甘いカラーリングを、革小物で取り入れたいという人たちも。服とコーディネイトするという発想とは別次元の動き

【4】2016秋冬バッグ注目テーマ
秋冬に注目されそうなバッグ、小物雑貨でのキーワードをまとめました。

≪レディス≫
①    チェンジショルダーto6
ボディそのものではなく、いままで脇役だったショルダーにデザインを加えたアイテムが今年らしい。インパクトあるストラップをチェンジできるように取り外せるタイプも多い。
また「ファンクション(機能性)」と「ユーティリティ(汎用性)」は相変わらず重視され、フォルムが変わる、3way性なども支持されている。

 

②    「BIG」サイズ革命to7
大きなサイズ感が新鮮に映るシーズン。長らく小ぶりサイズがマーケットを席巻していたが、今シーズンはビッグアイテムを持つ人たちが増えた。特にシンプルなトート、ショルダーなど。働く女性たちのA4、A3サイズを持つ人たちも依然多い。旅行、ジム、マザーズといったニーズの汎用性が高いのも魅力。

image19

仕事をする女性が会社に持っていくバッグ
のアンケート。みなさん意外と大きいサイズ
を持っていく

 

③    ちょい“ダサ”感 to8
去年は巾着型が人気を博したが、今年はそこからのアレンジで「バケツ型」が復活。やはり90年代に流行した形でもあり注目。また一本手のショルダー使いや、タテ長型などどことなくダサっぽい雰囲気のアイテムが注目。懐かしいハコ型、「Box型」も復活し、その流れでバニティも支持されそうだ。

④    光沢系&アニマル柄 to9
久しぶりに迷彩以外のプリントが復活。この秋冬はアニマル柄に期待できそう。すでにこの夏から登場している柄で、シンプルなコーディネイトのスパイスにもなる。また秋冬ではあるものの、キラキラした箔押し、ラメなどの光沢系も注目。また夏シーズンがカゴが目立っていたので、その流れで季節素材のファーが再浮上する可能性も。

 

≪メンズ≫
ビッグサイズバッグ to10
メンズではリュックが一段落し、新しい流れが求められている。そんな中での注目は「ビッグサイズ」。特にショルダーやボストンなどいままであまりなかった大型サイズが○。斜め掛けのメッセンジャー型にも期待がかかる。旅行やイベントに持っていくという人も昔に比べて増え、キャリーバッグではないアイテムを求める人も少なくない。汎用性の高さも見逃せない。

新機能派バッグto11
新たな素材の開発、はっ水性や汎用性などに力をいれたアイテムが増えてきた。特にゲリラ豪雨対策で急な雨でも困らないというはっ水レザー、ラバー素材を使ったアイテムが増加。
またPCの収納性、ポケッタブル、スニーカー収納できるタイプなど、さまざまな機能と使い勝手の良さが注目されている。

≪革小物、雑貨≫
スマホまわり to12
革小物のアイテムとしては財布なども見逃せないが、スマホまわりのアイテムの開発が進んでいる。
機種に関係なく吸盤で張り付けるスマホケース、限定レザーで作った1点もの感覚のケース、ボシェットでもクリアポケットを作り上からスマホが操作できるタイプなど、スマホにまつわるアイテムが相変わらず不可欠。

メンズ小物 to13
メンズの革小物では、カラフルなものを揃える動きが広がっている。ギフトでは自分買いでは黒ネイビー茶だが、女性が買う場合は赤やブルーなどを選ぶようだ。
グラフィカルな形を意識した文具メーカーとのコラボ革小物ブランドも登場し、選ぶ幅も広がってきた。

ライフスタイル to14
様々なライフスタイルに応じた革小物のバリエーションも拡大。カセットテープをかたどったケースや、自転車の小物を革で使ったりと、新しいアイデアが登場している。

【5】2016秋冬シーズン傾向のまとめ
1)    「自分にとって価値のある“コスパ”を追求」
ロープライスだけがコスパではない。断捨離の定着も一因。自分で納得感の高い“コスパ”を求める

2)    「ノームコア」から「新デコラ主義」へ
ヴィンテージ感覚が新鮮。古着やリメイクが人気に。

3)    「役立ちバッグ」と「キャラ立ち小物」
バッグには機能性と汎用性。小物には個性と嗜好性。外から見て目立たないものに自分
らしいテイストと嗜好性を求める

4)    進化形大人マーケットにフォーカス
「ハイバリュー&ロープライスミックス」なコーディネイトにシフト。付加価値があること、着まわせること、いろいろなシーンで使えること。

5)    新オケージョンを意識したアプローチが不可欠
“グランピング”“ハロウィン”“インスタグラム”“セルフィー”などの新しい
シーンやコミュニケーションツールが増加。

ー まとめ -
2016秋冬はノームコアからの揺り戻しが、新しいデザインやスタイリングを生み出しそうなシーズン。
従来の思い込みの枠を外して、自由なアイデアを取り込むことがますます必要になっています。
自社だけでなく、コラボレーションで互いに強みを引き出し、ともに新たなものを生み出すことも不可欠な時代になってきたと感じています。

—————————————————

今回も、ずっと皮革業界の市場を見続けている川崎さんならではの視点や、売れ筋などをキャッチする臭覚、総合的にまとめあげる力強さなどが感じられたセミナーでした。また、もう一人のパネラー鈴木さんのオンラインライターならではの違った視点からの情報もとても興味深いものでした。

IMG_7575crop夜の部終了後には、ご参加いただいた経済産業省の方やクリエーターの方々、webデザイナーの方などと名刺交換&意見交換がなされ、異業種の方との交流もこういったセミナーのとても重要なポイントですね。川崎さんが最後のまとめでおっしゃっていたコラボレーションに発展するかもしれません♪

次回は1月に予定しています。皆様のご参加お待ちしています。

 


保存

保存

保存

LINEで送る