第30回勉強会『革について -仕上げ加工編- 』レポート

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2016年1月27日(水)墨田区にある都立皮革技術センターにて『革について -仕上げ加工編- 』の勉強会が行われました
%e5%86%99%e7%9c%9f講師には、創業100年を超える老舗タンナー(株)山陽の塩田氏をお迎えし、前半は、『革の仕上げについて』を動画を用いて説明したいただき、後半は、白ヌメと呼ばれるタンニン鞣しの下地の状態のものを着色から仕上げまでの工程を実演とともにレクチャーしていただきました。

革は、動物の皮膚の状態では『皮』と表記されます。その『皮』は剥いだ状態のままでは腐ってしまいますので、それを腐らなく加工したものが『革』と表記されるようになります。
多くの革は、海外から塩漬けにされ輸入されてきます。そしてまずは、その塩を落とす作業から始まり、多くの工程を経て腐らず強度と弾力を兼ね備えた優秀な『革』となります。革といっても靴用、バッグ用、衣料用など用途によって千差万別であるため、革づくりはとても奥の深い世界のようです。

腐らない革になるまでの工程を『鞣し』と言いますが、その『鞣し』の工程は、以前の「栃木レザー工場見学会」レポートで詳しく説明していますので下記よりご覧ください。今回の勉強会では、そうやって『鞣し』た後の革になったものに染色加工を施し、仕上げていく過程を塩田氏に実演を交えながら教えていただきました。

2014年9月18日 『栃木レザー工場見学会』レポート
2015年10月8日『栃木レザー工場見学会』レポート

■「仕上げ加工」は下記の観点からとても重要だそうです。
・見た目を良くする
・物理強度を上げる
・裁断する際の歩留まりを上げるため
確かに、下地の状態だともともとのキズやスレなども目立ち、水もすぐに浸み込みますし、汚れも付きやすいですよね。そういう革は確かに裁断する時に悩ましい革といえます。

■「仕上げ加工」の分類は下記の4種類。
・革の表面の状態による分類 → スムース、型押し、銀すりなど 
・革の仕上げに使用する着色剤による分類 → 染料仕上げ、顔料仕上げなど 
・革の塗装液による分類 → 素上げ、バインダー仕上げ、オイル仕上げなど  
・仕上げに使用する機械による分類 →アイロン仕上げ、ミリング仕上げ、グレージング仕上げなど
これらの分類の中からいろいろと組み合わせてオーダー通りの製品を仕上げていくそうです。
工程の1つを変えることで全く違った革になってしまうこともありますので、知識だけではなく、経験により培った勘が大切で、まさしく!職人の技といえるでしょう。

まず始めの実演は、
≪スムースヌメ革→染色→バインダー吹付け→アイロン仕上げ≫

ガンスプレー塗装機のネットの上に革を乗せ、あらかじめ調合してあった染料をハンドスプレーガンで吹き付けていきます。

IMG_0795_2-tile最初は縦方向に吹付けをし、今度は横方向に吹付け、色によっては斜め方向からと2~4回吹付をし色を均一に載せていきます。全体に吹き付けた後はすぐに乾燥室へ。つぎに定着剤などを吹付け、また乾燥室にといった作業を実際塩田氏にやっていただき、ただの肌色のヌメ革だったものが、どんどん美しい艶と味のある革に変身をとげていきました。その工程はとても手間と労力がかかるもので、革の単価が高いのもうなずける内容でした。

≪クロコ型押し/水性/カゼイン/アンティック/ポリッシュ仕上げ≫

ヌメ革は、熱を加えると焦げるという特性がありますので、端の方の圧力が多くかかっている部分は、特に焦げて色が濃くなっています。

IMG_0801-tile_2同様にスプレー、乾燥を2回繰り返し、これで第一段階の茶色の染色が終了。

ガンスプレー塗装機はスイッチをONにすると、もう話し声も聞こえないほどの轟音と共に背面の壁に水がジャージャーと滝のように流れ始めます。
これは、霧状になった染料や仕上げ剤を作業者が吸い込むことを防ぎ、また、スペースや衣服を汚さないように考えられているもので、その粒子は背面の水とともに下方に流れていき、その水は有害物質を除去した後に下水に流されます。
確かに勢いの良いスプレーを噴霧すると、周りにいる我々の服も茶色に染まってしまうんではないかと思うほど粒子が舞っていました。

IMG_0822_2次にクロコ型押し革のアンティック仕上げの工程です。塩田氏は効果がわかりやすいように始めは半分だけアンティック加工を施してくださいました。
使う道具は「タンポナータ」という布を丸めて巾着にしたもので、染料にアルコール系の溶剤を入れ濃い目の塗料を用意し、型押しの凸部分だけにポンポンと軽く叩いたり、くるくると軽くこすったりしながら色を適当に乗せていきます。この適当さが自然なテイストに繋がるようです。

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この作業を「上を汚す」というそうですが、均一に染色された革がほんとに汚れた感じになり「これで自然なアンティックになるの?」と不安がよぎるほどくっきりとした濃い色が入ります。
そして2回目の染色&乾燥後、「ポリッシングマシン」と呼ばれる高速回転する布製のローラーで革の表面を摩擦することで、表面を焦がし平滑にした上でプレスアイロンをかけると、マットだった表面にツヤが一気に出てきました。

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そして最後、目止めの用の溶剤(トップコート)を吹き付けて乾燥、もう一度ポリッシングマシンとアイロンプレスをかけると、そこには深さのある色と上品なツヤが生まれ、始めのカサッとした肌色のヌメ革とは思いもよらない、素敵な色合いと艶の『革』が仕上がったのでした。

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実際、私たちもガンスプレーとアンティック加工を体験させていただきました。
まずハガキサイズくらいの革をひとりずつガンスプレーで染色していきます。先生が楽々均一に作業されていたのを見たばかりですが、自分がやってみるとすごい勢いで噴霧され案外コントロールが難しい!
そのあとはタンポナータや筆を使って思い思いの色付け。先ほどとほぼ同じ工程を経てプレスすると、とても自分で染色したとは思えない出来栄えの革に仕上がり、みなさんからどよめきが。

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革が仕上がった後も、この施設内の革製造の機械などの説明を伺ったり、質問したりで予定の時間では終わりませんでしたが、とても充実した勉強会となりました。

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