第31回勉強会 「藤豊工業所見学会」レポート

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2016年2月3日バッグヤードの勉強会は、東京都墨田区で1955年創業、日本でも6社(世界でも20社程度)ほどしかない爬虫類専門タンナー『藤豊工業所』の工場を見学させていただきました。日本の牛革のタンナーが350社ある中で、6社とはかなり少ないですね。

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そんな藤豊工業所は爬虫類革の鞣しのみならず、自社素材でバッグや小物の製品まで手掛けている珍しいタンナーさんです。ワニ、トカゲ、ヘビ、サメ、ダチョウ、ゾウなどの革をエキゾチックレザーとも言いますが、これらの革が塩漬けされた状態でワシントン条約に基づいて輸入され、鞣し、そして国内で販売だけでなく輸出もします。

 

主に入っていくる国はパプアニューギニア、アフリカ、アメリカ、インドネシアだそうですが、絶滅から守るため9割が養殖もので、野生ものでもアメリカのアリゲーターなどはヘリコプターで卵の数をチェックし、取る数を制限しているそうです。
牛革のように【食の副産物】とはまた違った素材ということですね。

そんな貴重なエキゾチックレザーを鞣す工程を2班に分かれて見学をさせていただきました。藤城社長に案内をしていただいた我々の班にはクリーニング店の方、デザイナーさん、メイドインJapan商品を扱うショップの方など多岐に渡るご職業の面々。一行がまず見せていただいたのが、塩漬けで輸入されたクロコダイルの【皮】。

「【鞣す】とは【皮】が腐らないようにし、さらに耐熱に優れ(日本の革は80度まで耐えられる)、引き裂きに強い素材にすること。」というお話しから始まり、その塩漬けのクロコダイルは、ワシントン条約で決められたタグによると、アフリカのナイルクロコだそうです。 背中でカットされて開きの状態です。 どうして背中かというと、単純にファッションの流行だそうです。昔のように、ゴツゴツボコボコした「The ワニ!」という柄は今需要が少ないようです。

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このタグですが、国別で色が違い通し番号でジュネーブで管理されているそうです。取れてしまっては輸出が出来ない重要なタグ。

さて、まず塩漬けにされているワニをどうするかといいますと、水洗で戻し、PHをアルカリ⇒中和⇒酸を行ったりきたりさせ、アルカリの強い石灰の液に漬け表面の固いウロコを剥がし、皮の繊維をほぐします。この液の水温管理は季節や天気によって変わるので毎日調整しているとか。ちょっと触らせていただくと、ぷにょんぷにょんのゴム人形みたいな手触り。 ここまでの工程だけで2週間以上。
そして1回にワニ200枚まで入るドラムでクロム鞣し剤をいれ回します。

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ワニの種類だけで5種類あり、社長曰く、いいものを仕上げるには繊維が違う5種類全部のレシピが頭に入っていて、大きさ、大人か子供か、日本に入ってきた時の鮮度によってもまたレシピを変えるとのことでした。日本は季節の移り変わりなどで気温の差が大きいのでより繊細な神経を使うため、日本人の気質には合っているとか。そのきめ細やかな作業によって仕上げた革はレベルが高く世界でも人気のようです。

a_IMG_1000続いて成分が均一に浸透するよう厚さをそろえるため電動のシェービングで裏を削ります。
ものすごい轟音とともに、手慣れた職人さんがローラーの機会で作業見せてくださいました。

 

 

 

 

次は漂白。ワニ特有の模様を残すというオーダー以外は、背中の色素を脱色して無地にしていきます。脱色も特殊な技術がいる工程。ここまでの工程で出来たのが「ウエットブルー」と呼ばれる水色になった状態。これを干すのに釘はりと名前の通り板に釘で皮を貼り付け乾かします。

いろんな薬品を入れたり色抜きしたので、ここで一休みさせるのが重要だそうですよ。

こうやって一枚の【原皮】が【革】になるまでには、たくさんの機械と手作業、そして化学処理などの工程が必要で、完成までに90日以上かかるそうです。

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そしてこの後染色作業へと入ります。オーダーによって色の入れ方もいろいろということですが、よく目にする単色のものもあれば、ムラ感のあるアンティック調など様々。
そこで、溝だけ違う色にする技法を見せていただくことに。まず下地に白を吹き付け、その上に黒を塗り、拭きます。するとトップ部分と溝とで色が分かれてツートンに。これを開発者の職人黒谷氏の『バニラ』と呼ばれる技法だそうです。

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a_IMG_1009-tile他にもパール加工にしたものなど、職人さんが試行錯誤して開発した染色技術で、オーダーに合わせた色付けをしていく工程を見せていただきました。

a_IMG_1026染料や顔料で色付けした後、耐水性や艶を出すために仕上げ材を塗布し、オーダーによって違う仕上げ方法をします。バフと呼ばれるコットンベルトを回転させてこることでツヤを出す技法や、硬いメノウでこすって焼くグレージングなど。

こすると色がとても濃くなるので、最初から仕上がりを想定し、薄めに染色しなくてはいけないそうです。
また、グレージングでこすると、まったく想像出来ないほどに色が変わってしまうのには驚きました。

 

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爬虫類の難しさは、染の後にこすって艶をだすために、オーダー通りの色を付けるのは本当に難しいとおっしゃっていました。社長が持たれている筒状のものがが”めのう”です。これを機会に取り付けこすっていきます。

そして、このツアー中、社長が何度もおっしゃったのは「爬虫類は細部にわたるキメの細やかさが大切な作業なので、日本人にこそ向いている」とのことでした。
つや消し『マット仕上げ』や、『グレージング仕上げ』という焦がして透明感ある光沢を出す方法など、種類やオーダーによって使い分けもいろいろ。技術と知識がそうとうなくてはいけないようです。

さて、ツアーも無事終わり、戻ってきた一行は、先ほどの『バニラ仕上げ』を体験させていただきました。
黒く塗りつぶされた革を濡れ布巾でクリクリっと拭くと、すぐに白地が見えてきてムラ感のある素敵な柄になりました。

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これを関西弁の軽快トークでずっと私たちや職人さんたちを繋げ楽しく案内してくださった営業の岩崎女史に色止めをしてきていただき、各自の手元へ。そして、作業工程で外れてしまったというワシントン条約のタグをプレゼントしていただき、みなさんストラップ状態にして持ちかえらせていただきました。

 

 

 

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あと職人さんが見せてくださったものが、クロム鞣しが主流の爬虫類ですがタンニンで鞣したヌメ革。参加者が一番喰いついたのはコレでした!もう興味深々。その中のでもデザイナーの方はもうこのヌメ革を使った何かデザインが浮かんでしまっている様子。

a_IMG_1069そんな貴重なお話しと体験とお土産までいただき、時間があっとい間に過ぎてしまった勉強会でした。お土産に頂いたタグには、シャムワニの『SIA』とベトナムの『VN』と記載されてるのをみんなで判読できました。

 

 

藤豊工業所は熟練の職人と若い力による技術の継承と開発がつまった、世界視野の活気あふれるタンナーさんでした。

※ちなみに↓の左から3番目はバッグヤード事務局の狩野でございます(*´з`)

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藤豊工業所

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