第33回勉強会『革製Dパック製作』中級者対象 レポート

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クリエーターや作家さんを対象にした『革製Dパック製作』の勉強会が、2016年6月24日のオリエンテーションからスタートし、7月10日、24日、8月3日、9月10日の4日間に渡って開催されました。

リュック写真今回の課題は、革のDパック(リュックサック)を、型紙のコピーを基に型紙切り、革の裁断、革漉き、縫製、仕上げまで、4回の講義で完成させるという内容です。

参加者は、個人で鞄や小物を作り販売をしているプロの方がほとんどで、希望者多数の為、午前と午後の2組に分かれて、各回3、4名の参加者による勉強会となりました。
講師には、Dパックの型紙とサンプルの製作者である(有)ジオミウラの三浦社長と、職人でありながら千住で『渡邊鞄』というバッグブランドの代表をされている渡辺社長にご指導いただきました。三浦社長には、オリエンテーションの際の型紙の説明と、最後の出来上がりを見ての講評をお願いし、製作のほうを渡辺社長に担当していただきました。

今回の参加者の一人、バッグヤードのワークショップで講師も務めていただいている高橋法子さんにレポートを書いていただきましたので、ご覧ください。

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初日のオリエンテーションでは、最初にリュクが他のバッグと違う点についての解説がありました。

まずリュックの力点は、ショルダーの上方と下方の両脇の付け根であり、この部分の取り付け方で快適性が違ってくるという事。
上方部分は、ストラップの縫込み部分にしっかりした芯が入っていることで、型崩れしにくくなる事。
下方部分を本体に縫いこむ場合は、三角形の翼などをつけることによってフレキシブルにストラップが動くようになり強度も増すという事。
そして、リュックは背負っていると必ずバッグ上部がつぶれるので、そうなっても素敵に見えるデザインにする必要がある事などでした。
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言われてみればその通りなのですが、そのポイントをしっかり押さえて作れていたでしょうか。
お話を聞く皆さんの眼差しはすでに真剣そのものです。

続いて、型紙のコピーとサンプルとを確認しながら、型紙や制作についての解説が行われました。
今回のDパックは、一見さらっとしたデザインに見えますが、実はとても構築的に考えられており、細かい部分には驚くようなこだわりが満載の「造り」になっています。
見れば見るほど、一体どうなっているのだろう?と次から次に質問が飛び交うオリエンテーションとなりましたが、1つ1つ気さくに答えて下さる三浦先生の言葉に、皆さん頑張ってやってみようと勇気がわいてきたようでした。
次の勉強会までに、型紙裁ちと革の裁断までが宿題となりました。
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7月10日 1日目
裁断済みの革を部分的に漉く勉強です。

今回使った漉き方は、大きく分けると2つ。
折り曲げる部分を漉く、「ヘリ返し」と呼ばれる方法と、縫う部分を漉く、「テーパー」と呼ばれる方法。
他にもダーツ部分の漉き方など、渡邊先生が漉きを見せてくださったように、それぞれが漉いてみます。
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この漉きというのは、製品の仕上がりを決める大変重要なポイント。
漉きが良くできていないと、どんなに上手に縫ってもきれいな仕上がりにならないのです。
製品があか抜けているかどうかは漉きがすべて。

しかも、何ミリに仕上げれば良いという決まりがある訳ではなく、あくまで手で触っての判断。
この革でこのくらいが良い、という厚さにするのがベストな答え。経験がものを言う難しい工程です。
先生の漉いた革を触ってみて、自分の革で試してみます。
受講生の方は、これまでも革漉きは行っていた方ばかりだったのですが、今一度プロの漉き加減を、手で、目で、確認させて頂けるという素晴らしい勉強となりました。
製作面についての質問にも答えていただきながら、あっという間に終了時間となりました。
これ以降、各自制作に入っていきます。
47月24日 2日目
各自制作にはいり、作ってみてうまくいかない部分やコツなどを渡邊先生に相談します。

ファスナーのつけ方、
芯入りのショルダーの縫い方、
ポケット、
ダーツ、作ってみると難しい造りばかりです。

すっきり仕上がっているサンプルと、現在悩みながら製作している自分の作品を見比べながら思わずため息が出る場面も。

 

この完成された形は、考え抜かれたデザインと型紙、
そして縫製仕様のベースがあってのもの
どなたも、自分の手で作ったからこそ、それが心に深くしみているようでした。

また、先生には難しいミシンの調整や縫い方のコツなどの質問にも答えて頂たり、今回の課題だけでなく日ごろの悩みも相談させていただいたり、どんな事にも親身に答えて下さる先生との時間は、物作りをしている方にとって宝物のような時間だったようです。
68月10日 3日目
すでに完成された方が何人もいらっしゃった3日目。
午前中は、先生からお褒めの言葉をいただきながらのプチ講評会となりました。
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8続いて、うまくいかなかった部分を熱心に相談される方。
最後の仕上げを工房のミシンで縫製される方もいらっしゃって、完成までもう一息。
皆さんそれぞれのバッグは、同じ物からスタートしたとは思えないほどの個性が見られるようになって来ました。

最終日の講評会を楽しみにしながら、3日目が終了しました。

9月10日 4日目
最終日は作品の講評会でした。
受講された方が、自己紹介と作品制作にあたっての感想を発表。
講師の先生から講評をいただきました。9

一番多かったのは、「考えた」という感想でした。
とにかく、この造りを理解するところが勉強だった。
サンプルが手元になく、見た記憶だけを頼りに作ったのでとても考えた。
こうだと思って考えて作っても、うまく行かずやり直した。
考えている時間の方が長かったなど。

自分のデザインではない鞄。自分が作ったのではない型紙。
それをよく理解した上できちんとした製品を仕上げる事は、思った以上に難しく、学んだ事は山ほどあったようです。
一人で物作りをしていると、自分がやれない事に挑戦する事はなかなか出来ないもの。
そいういう意味では、違う世界に挑戦し幅を広げる事が出来たのではないでしょうか。
また、受講生同士で話し合えた事や、革の違いでどれほど出来上がりが違うかを学べたのもとても良い勉強になったようでした。

三浦先生からは、
「個性があって思った以上の出来映えです。」
渡邊先生からは、
「個々の思いが正直に出ている所がとても良かった。」という、とても嬉しい講評をいただきました。top

並んだ作品を見ますと、確かにものすごい個性ですよね!
作り手の想い、作り手の個性がこんなにも作品に表れている事には先生方も驚かれていたようで、
何度も手に取って細かい所までご覧になり、それぞれの方にコメントやアドバイスをして下さっていました。

続いて、きれいに出来なかった所の理由、疑問、その他の問題点、悩みなど、先生方に質問出来る時間が設けられていました。
カーブをつけてファスナーを貼る方法、縁返しをきれいにする方法、漉きについて、
重なった部分をきれいに縫う方法、ショルダーを縫う時の注意点、
作る順番、ポケットの付け方、、、、質問はどんどん出て来ます。
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この後、懇親会の時間も用意されていたのですが、最後まで鞄作りの話が尽きる事はありませんでした。
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試行錯誤しながら物作りに真摯に向き合っている受講生の方々の作られた作品は、どれも本当に素敵でいつまでも見ていたいほどの出来映えでした。
経験豊富でたくさんの鞄を作って来られている素晴らしい先生方と一緒に、物作りの難しさ、興味深さ、面白さに向き合い、何よりも自分の世界を広げる事が出来た勉強会になったのではないでしょうか。
皆さん、2ヶ月以上に渡っての勉強会お疲れさまでした。

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本当にステキな作品に仕上がっていてみなさんがんばりましたね~♪
クリエーターや作家さんは、一人でコツコツと物づくりをされている方が多いので、あーだこーだと言い合える仲間と物づくり出来たこともとても有意義だったようです。これが縁で何か新しいものが誕生するかもしれませんね(^o^)/ これはバッグヤードの願いでもあります。
またこのような勉強会を企画してまいりますので、今回参加できなかった方も是非次回はご参加ください♪

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