第40回BagYard勉強会 「バッグ&小物業界 トレンドセミナー」まとめ


第40回BagYard勉強会
「バッグ&小物業界 トレンドセミナー」まとめ

2017年1月24日、奥渋谷のレンタルスペース「qualite(カリテ)」にて、BagYard 第40回勉強会が開催されました。 今回も人気パネリストB.A.G. Number編集長の川崎智枝さん、B.A.G.Numberディレクターの鈴木清之さんのお二人。軽快トークで分かりやすく実際の現場の様子と共に、先取りトレンドについてお話しくださいました。

以下、川崎さんよりその時のセミナー内容をまとめて頂きました。
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2015年より「B.A.G. Number」という、バッグや服飾雑貨に関するwebマガジンを立ち上げております。肌感覚でいまのマーケットから感じられる情報を噛み砕いて、みなさまにお伝えしていきたいと思います。

◆「BAG Number」バッグナンバー http://bagnumber.tokyo/

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【1】2017 マーケットの中にみる注目の「○○消費」

2017年を新たに迎えるにあたり、「○○消費」という言葉でマーケットのキーワードをくくってみることにしました。ユーザーの“消費動向”がこのところ変わってきています。この変化をキャッチアップしておきたいところです。

(1)「メリハリ消費」
“ポジティブ チープ、コレクティブ リッチ”というキーワードで例えられるように、「積極的にチープアイテムを楽しみ」、なおかつ同じ人が「高くてもコレクションしたいくらい好きなものにはお金を払う」という「二極化消費」を意味する。チープの方は「しまパト(しまむらパトロール)」に代表される、お宝的な一点もの探しを楽しんだり、逆にリッチな方は「クリスチャン・ルブタン」や「ミナ・ペルフォネン」といった普遍的価値のあるブランドロイヤリティが高いものに対してコレクションする消費者のこと。

(2)「ソーシャル」消費
社会貢献につながるような消費活動。最近盛り上がっているのは「クラウドファンディング」で、これは自分が払うお金が「商品との対価」ではなく、「応援」や「投資」に繋がるということが重要。ネット経由でわずかな額からお金を投資でき、“リターン”の商品もワクワクするものや社会貢献につながるものが多いことから、若い人たちの間で人気が高い。日本国内では総額70億円が流通し、今後も増えそうだ。

(3)「トキ」消費
「モノ」から「コト」へ、というのは以前から言われているが、ここに更に「トキ(時)」が加わった。“時間消費型”というキーワードのショッピングモールが増え、様々な遊具やカフェの増設、さまざまな世帯が過ごせる工夫がなされ、1日中いても遊べるのがポイント。他にも、デパートの屋上では「テント設営&キャンピング」イベント、「モネの庭園」設置、「カーリング・バー」といった様々な“トキを楽しむ”イベントが行われるようになってきている。

(4)「健康」消費
“安心、安全”を求める機運は変わらずで、特に「食」の分野が先行しているが、衣類でもそれらが浸透しはじめた。靴では最近、スニーカーブームからかヒールを嫌がる若い女性が増え、“コンフォート性”を意識した痛くない靴作りは必須になっている。また肌着でも「アルガンオイル入り」のもので肌荒れ予防をしたり、ハイテク技術によって「化粧品インナー」のようなものも開発されている(cf.デサント)。ファッション性だけでなく、日ごろの“トラブル解消”といった健康消費も見逃せない。

(5)「愛着」消費

雑誌「リンネル」が好調だ。この背景には“暮らし系女子”と呼ばれる女性達の姿がある。読者の年代は幅広く30~80代。服はナチュラルなスタイリングを好むが決して“シンプル&ベーシック”ではない、手仕事の匂いのするテイスト。あまり表舞台に登場しない方々だが、実際にはマジョリティとして大きなマーケットを構成していることも考えられる。彼女達に支持されるバッグを考えていくということも今後は必要になってくる。

(6)「シェア」消費
以前はシェア消費といえば、「カップルでユニセックス系(例えばポーター)のバッグを共有する」という意味合いだったが、最近ではもっと値ごろなものを“色違い・サイズ違い”でお互いに買って「リンクコーデ(お揃い)」するという“シェア感覚”へ。その最たるブランドが「アネロ」のリュックだったりする。モノの共有から“楽しさの共有”へとシフトした。

(7)「脱 爆買いインバウンド」消費
外国人観光客のいわゆる「爆買い」が落ち着いたとされ、「買い物」から「体験」へとシフトしている。その中でも日本がまだ気づかない財産は多くある。いま台湾人が中国富裕層向けに企画するホットな旅行ツアーは、例えば「瀬戸内のアートな島めぐり」「映画“君の名は”の岐阜ツアー」「山形の秘湯ツアー」といった日本人でも触手が伸びそうな魅力的なテーマ。またものづくりを体験するワークショップを組み入れるなど、日本人向けだった企画を今後は外国人観光客向けにシフトさせるのも必要なことになりそうだ。

 

【2】「上半期ベスト10から読み解く、2017のヒット予測 ベスト5」

BAG Numberで人気のコンテンツ「2016年ベスト10」を分析し、今年秋冬のバッグ傾向を読み解きます。また豊富なタウンウォッチングのデータを通じ、マーケットで今期注目されるフォルムや素材、スタイリングなどのベスト5を予測します。

2016 総合ランキング →→ 2017年につながる変化
1位:スクエアリュック リュックは定番化へ。ただ大型&スクエアから小型化、きれいめへ
2位:お財布ショルダー “身軽がおしゃれ”は継続へ。バリエーションも揃い定番化。
3位:バケツ型 巾着型からシフト。今年も期待できる。かっちりバッグを合わせるコーデも増えた
4位:ウォームカラー ワイン、オレンジなど暖色系カラ―が人気に。2017年は寒色系(アビスブルー)等へ
5位:ねこモチーフ ねこブームの到来でモチーフものが活況。今年はねこからフラワーモチーフへ

 

実際にセミナーで使用した写真はこちらです。

1位 スクエアリュック→小さ目へ

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2位 お財布ショルダー

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3位 バケツ型

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4位 ウォームカラー

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5位 ねこモチーフ→ フラワーモチーフへ(※セミナーとは別写真です)

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【3】2017春夏バッグ注目テーマ

今年春夏に注目されそうなバッグ、小物雑貨でのキーワードをまとめました。今年は久しぶりに「ファッションがワクワクする」シーズンになりそう。色が戻ってきてさまざまなハンドメイド調が登場することで、オリジナル性や1点もの感覚がまた復活する兆し。

 

≪レディス≫

  • ハンドクラフト

124image15-horz手仕事のエッセンスのあるものが増える。刺繍やビーズ、スパンコール使いなど。自分で付け外しが楽しめるワッペンやブローチなども。トライバル調も注目。また、キルト、かぎ針編みの復活で、おばあちゃんが持っていたようなグラニーバッグも登場。自分で作るDIYバッグも盛り上がり「ズパゲッティ」というTシャツヤーンの手作りバッグも増える。

 

  • レトロディテール124image18-horz

懐かしいフラワー柄やスカーフ柄、水彩画などのプリントものが復活。古着テイストからデニムも復活。くり手、丸手といった70年代調のディテールも。ゴブラン、ジャカードといった付加価値の高い布帛ものも〇。継続してバケツ型は人気になりそう。リング(丸)ハンドルつきなどが新鮮に映る。

 

  • スイートフェミニン 124image20-horz

久しぶりに甘めディテールが復活し、レース、フリル、大きなリボンつきなどが復活。全体的に甘めにするのではなく、シンプルな形にプラスオンしたような雰囲気。ユニセックスやスポーティなフォルムにフリルをつけるなどわざとアンバランス感を楽しむ。

  • ベルトポーチ、ミニショルダー124image21-horz

ランキングに登場した「お財布ショルダー」の派生形として、注目がベルトポーチ。身軽なスタイルが登場しているのを受け、新しいアイテムとして注目。コレクションでも多数登場。またミニ巾着バッグを二本手にして長く持つ、なんとも不思議なバランスの持ち方がインスタグラムで人気沸騰。今年の動きが気になるところ。

 

≪メンズ≫

➀ネオ・ノマド 124image23-vert

男性の新しい働き方に合うようなバッグの提案が待たれている。いわゆる「ノマド」と呼ばれる“フリーランス”や“企業内ディレクター”のような、あちこち飛び回る仕事の人向きで、スーツではなくカジュアルなスタイリングの男性たち。彼らがパソコンやモバイルアイテムを持ち、どこでも仕事ができるようなライフスタイルを送る際に、ビジネスバッグは革のカッチリタイプかルーズなナイロンリュックかではなく、もっと柔軟に考えられるものが必要。防水性、軽さ、収納力、モバイルとの親和性などへの気遣いが必要に。

 

②サイズ&バランスの二極化 124image26-horz

メンズでも、ミニサイズのもの、逆にエクストリームシルエットのものなど、サイズやバランスが二極化したものが増えている。今年秋のコレクションでも、エルメスが「シュープリーム」とのコラボでミニショルダーを提案。街でも小さいアイテムをわざと持つメンズなど、少しづつ身軽なコーディネイトも増えた。逆にビッグトートなどアンバランスなサイズ感も新鮮。男性のみならず女性でもビッグサイズは人気になりそう。

 

 

≪2017年 ライフスタイル キーワード≫

いまの時代はトレンドだけでなく、商品開発にも売場でも、ユーザーが求める“ライフスタイル感覚”を押さえておく必要がある。“時代の気分”のような感覚ではあるが、「新しいトレンドを求める」ことだけでなく、ひろく「困りごとの解決」や「発想の転換」といったここにはキーワードが隠されている。

 

➀革小物レボリューション 124image28-horz

相変わらず、バッグだけにとどまらず革小物は元気アイテムだ。「レボリューション」というだけあり、AIやITと結びついた小物が注目。「スターバックスコーヒー×ビームス」のコラボで生まれた「フェリカ革キーホルダー」。かざすだけでコーヒーが買えるというテクノロジーのひとつ。また多機能性、ハイテク素材使い、革を無駄にしないサスティナブル小物なども注目。革小物といえば今年は特に「ベルト」が注目されそう。ゆったりシルエットがシャープに見えるメリハリ小物としてヒットの兆し。

 

②アスレジャー&グランピング 124page

一昨年くらいから盛り上がっている「アスレジャー」。今年は定着の年と言われ、日常着として更に浸透しそう。改めてアディダス、ナイキといったNBの提案が注目され、アディダスも「XBYО(エックスバイオー)」という日本素材、日本のパターン技術を結集したブランドを新設。

また「グランピング」はグラマラス×キャンピングで、アウトドアを気軽に楽しみたいという機運の高まりからライフスタイルに浸透してきた。特にコレというバッグがある訳ではないが、売場や展示会場をグランピングというキーワードで提案することも重要。グリーンの多用などによるリラックスムード、テント、ピクニックといったアイテムも。

③“レイン”を楽しく 124image32-horz

シーズンを問わず、最近ではよく豪雨・豪雪にみまわれる。そんな時はおしゃれを楽しんでいるヒマなどないが、逆にそこにチャンスを見出すことも必要。おしゃれなレインアイテムへの関心が高まっているので、防水、はっ水、ウォッシャブルレザーなど「水と仲良し」な素材を意識。売り場でもトータルな提案をしてみたり、買ったものに防水スプレーをかけるなどのサービスが好評。

 

 

➃大人マーケット 124image35-horz

ざっくりと「大人」とくくるのもいささか乱暴だが、「バブル世代」「ハナコ世代」が50以上に なった。団塊の世代は70の声が聞こえる頃。そろそろ旧来の“おばあちゃんファッション”からは離れ、もっと欧米のような成熟した人たちのようなライフスタイルを、と求める大人たちも多い。マガジンハウスの「クーネル」は50代ターゲットにシフト、新たに講談社からは「ラヴィアン」創刊といった、この世代向けの雑誌が相次いで登場。バッグも若々しいデザインながら、軽さ、コンパクト、2way性を意識。また旅行が好きな世代なので、ペアで使える旅行バッグなども不可欠。

 

【2017年秋冬 トレンド傾向まとめ】

1.秋の注目カラー

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冬のパステル                ミックスカラー              アビスカラー

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ゴールドローズ                 エバーグリーン

2.秋冬の注目素材

(1)皮革素材

・ナチュラル系・・・ソフト&スムース、クリアー

・起毛素材・・・スエード、ベルベット風、ファー、ヌバック

・光沢系・・・シャイニー、メタリック、ミラー、玉虫、ラメ、エナメル

・加工もの・・・パンチング、レーザーカット、エンボス、はっ水加工

・ヴィンテージ・・・クラック、シワ、ラスティック(汚し)

・3D効果・・・シボ、エンボス、ダブルフェィス、ボンディング

・プリント・・・グラフィック、フラワー、ストライプ、オリエンタル調、チェック

・エキゾチック・・・パイソン、クロコ、レオパード、スティングレー

 

(2)布帛素材

・ナチュラル系・・・ウール、モヘア、コットン、シルク

・起毛系・・・ベルベット、ベロア、スエード、コーデュロイ

・アスレジャー素材・・・フリース、ネオプレン、裏毛

・光沢系・・・グリッター、ラメ、箔加工、スパンコール、フォログラム

・加工もの・・・フロッキー、ニードルパンチ、刺繍、ステッチ、カットアウト

 

 

【2017年 バッグ、小物傾向まとめ】

1)ファッションに対する「華やぎ感」の復活
ようやくファッションが華やかなものへと進化。継続したノームコアは発展的縮小へ。「ミニマリズム」へと昇華されて継続

2)「90年代ストリート系」復活の予感
エルメス×シュープリームのコラボのように、かつてのストリート系ブランドが新たにフューチャリングされて今の若い人たちに復活。「ハイ&ロー ミックス」の主役が交代

3)「暮らし系女子」の好むバッグを探る
注目されてきた「リンネル」読者向けのバッグとは。ハンドメイド感やエイジングする革のよさ、そしてマリメッコなどの北欧テイストにヒントがありそう

4)「手しごと」のぬくもりをクールに楽しむ
ほっこりするような手仕事のぬくもり感を楽しむ流れが高まった。自分でも手作りしたいと思える人たちも。またオーダーものへの障壁が下がり、自分だけの一品を求める動きも

5)「インスタ」「WEAR」等を意識した消費行動
着こなしやライフスタイルをシェアしあうSNSも盛り上がり、「インスタジェニック」を求める。ブランドや売場もユーザーとダイレクトに繋がれる時代へ。

 

ようやく長かった「シンプル&ベーシック」のノームコアを脱却し、色やプリントといったファッションらしい服や小物が戻ってきそうな2017年。またトレンドに限らず、新しいライフスタイル提案や、全く別の視点からの商品開発も求められています。他ブランドとのコラボ、またユーザーとの積極的な関わりといった、今までにないスタンスが新たなマーケットを生み出すと確信します。
なにか一つでも役に立つことがあれば、ぜひ活用してください。

ご清聴ありがとうございました。

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第40回バッグヤード勉強会『バッグ&小物業界 トレンドセミナー』のまとめは以上です。

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