2/4(土)第41回勉強会『型紙の作り方/つまみポケット編』レポート


 201724日(土) 中級者対象の勉強会が開催されました。

1講師の三浦氏は、バッグメーカー(有)ジオミウラ代表で、十代のころから先代の仕事を手伝い、サンプルを作り始めて約20年というキャリア。 三浦氏ならではの精密な製図、理論的に考えられたバッグの作り方や、シンプルできれいに出来上がる工夫など、質問すればすぐに何でも答えてくれる、知識豊富で気さくな先生です。

リュック写真crop

午前の部は、イメージ通りに製図するのが難しい高さのある『つまみポケットの製図』を13工程に渡って教えていただいた後、革漉きのコツも伝授していただきました。

午後の部は、前面につまみポケットがついた舟形ショルダーバッグの型紙を製図するポイントを教えていただきました。 2

午前の部の参加者は、仕事でバッグを制作されている方やカービング教室の先生、鞄の学校で勉強されている方など5名。午後は、午前から続けて受講された2名に加え、作家さん、職人さんなど計5名となりました。

午前の部『つまみポケットの型紙の作り方』

鞄の型紙は、職人さんがそれぞれの方法で試行錯誤して作る物。作り方は職人の数だけあるという奥の深い世界です。
今回は、デザイナーが作成した図面に直接製図を書き込んでいく作り方
正面・横・上からの図面と仕上がりイメージのデザイン画を見ながら型紙に仕上げていく方法を教えていただきました。

1:正面の図面の中心で2つ折りにする。

3まず最初に、型紙の縦のセンターラインに目打ちで線を引き、正確に半分に折ります。
左右対称に製図する為の準備になります。鞄の型紙の製図は、常に2つ折りにした状態で印をつけたり、カットしていくのが基本です。

2:つまみの頂点に目打ちで印をつける。

4つまみの頂点が、これから平面を立体に展開して行く基準のポイントとなります。

3:ポケットの口(上辺)の位置に線を引く

5-2017.2.4benkyoukaibrog-12つ折にした状態で、つまみの頂点からポケットの高さ(12㎝)を測って目打ちで印をつけ、開いて線を引きます。これがポケット口の出来上がり線になります。

4:立体になっているポケット口の長さを出して印をつける。

6-2017.2.4benkyoukaibrog-2今回は、ポケット口に5番のファスナーを落とした状態で取りつけるので、高さを2cm、ファスナー長はポケット口22cm3㎝の19㎝と設定します。

7ファスナー部分の19㎝は直線ですが、両脇のファスナーの幅の分のカーブの寸法の出し方がポイントです。
まず、 画像のように正面の図面にポケットを上から見た図を書きこんで、

8図のカーブの長さを、実際に使用する革を使って測ります。 カーブは素材によって寸法が変わるので、このようにして正確な長さを出す必要があります。
99.5cm(19㎝の半分)+革で測ったカーブ寸法=ポケット口の長さ、になるので
3で引いたポケット口の出来上がり線に、その長さの印をつけます。

5:ポケットの本型作り

10-2017.2.4benkyoukaibrog-4正面の図面のポケットの形を、そのまま写したポケットの本型の型紙を作ります。
本型は、これを元に製図していく原型となります。

11-2017.2.4benkyoukaibrog-5チケン紙の中心にカッターで切れ目を入れて2つ折りにし、図面を上にのせて目打ちでポケットの形を写します。

12写した目打ちの点を鉛筆で結んで線を入れたら、カーブの部分にはという道具で溝をつけてから裁断します。
捻を入れて型紙に溝をつけると、カーブの裁断がきれいにできるのです。

6:ポケットの脇、底の製図

14-2017.2.4benkyoukaibrog-615つまみの頂点からまっすぐ横にポケットの脇の厚み3cm+0.5cmを測って印をつけます。
この0.5cmとは、今回のポケットが上から押さえ縫いでつける仕様ですので、縁の0.5㎝が抑えられてしまう事を考慮してプラスした寸法です。

IMG_74264でつけたポケット口の印から、この厚みの位置を結んで線を引きます。(印を突き抜けて長めに)
同じように、つまみの頂点からまっすぐ下にポケットの底の厚み3cm+0.5cmを測って目打ちで刺して印をつけ、型紙をひらいて目打ちの穴を結んで線を引きます。(印を突き抜けて長めに)

7:脇線、底線の長さを決める。

16-2017.2.4benkyoukaibrog-7先ほど作った本型を使います。
今引いた脇線に、ポケットの本型の脇線を合わせていき、本型のつまみ位置の印をつけます。
17底線も同様にして印をつけて、
18それぞれ、つまみの頂点と結びます。

8:つまみを合わせてつながりの修正

19-2017.2.4benkyoukaibrog-8今引いたつまみを折って実際に縫ったように合わせてみます。
尖っている場合は、線がなだらかなカーブになるように修正し、
20再度本型を使い、調整したラインが本型の脇線、底線の長さになるように調整します。
21長さが出たらつまみの線を書き直し、つまみの線の長さが同寸になっているか確認します。

9:製図をチケン紙に写す

225で行ったように、チケン紙の中心にカッターで切れ目を入れて2つ折りにし、図面を上にのせて、製図したポケットの形を目打ちで写します。

10:縫い代のプラス

23-2017.2.4benkyoukaibrog-9ポケットの型紙に、上辺1cm、つまみ0.5cm、脇と底0.8cmの縫い代をつけます。

11:裁断

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直線は定規を使って裁断し、つまみ部分は先にVをカットしてから周りを切ります。

12:アタリをつける。

25-2017.2.4benkyoukaibrog-10アタリとは、合印としてつける小さい刻みの事です。
通常は、中心、縫い代の位置につけます。
ただ、
今回はポケット口の縫い代が裏からが見える仕様なので、ポケット口の中心には入れません。

13:裏地の型紙作り

27-2017.2.4benkyoukaibrog-11最後に裏地の型紙制作です。
今回の裏地は革をヘリ返した内側に入る仕様なので、革の厚みを考慮して実際のポケットの大きさから0.1cm小さい物を作ります。
26裏地の型紙にファスナー付け位置のアタリをつけたら、ポケットの型紙は完成です。

鞄の型紙は、平面から立体を考えていく作業。Dと考えると良いそうです。
すべて立体としてとらえ、前から、横から、上から、必要ならその絵を実寸で書いて測ってみる。
立体の頂点となる位置(今回はつまみの頂点)からどのように展開して行くか考えるのがカギとの事でした。

続いて『革漉き』について

「きれいなバッグに仕上がるかどうかの決めては漉きである。」と言われるほど大切な工程、革漉き。

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今回のポケットの漉き方ですが、三浦先生はヘリ返しをするところにミゾ漉きを入れるそうです。折る位置に溝が出来ているのがわかるでしょうか。

29-2017.2.4benkyoukaibrog-12また、出来るだけ型紙の段階から角という角を落としておくこともポイントだそうです。これは漉き機に入れる際に角がめくれて引っかからないようにするためです。特に縫い代が重なって厚くなる部分(型紙に斜線で書いてある部分)は2度漉きをする必要がありますので、角が落としておくことで革漉き機のガイドを替える必要もないからとのことでした。
このような細かい部分の配慮が美しい仕上がりを支えているのだと、皆さんとても勉強になった様子でした。

午後の部『舟形ショルダーバッグの型紙の作り方』

31-2017.2.4benkyoukaibrog-3まずは参加者の方が自宅で作成した型紙と三浦氏の型紙を比較してみる所からスタートです。
皆さん様々でしたが、全く同じでなくても寸法が合っていればOKとの事。

30確認後、
型紙のふくらませ方、
縫い合わせる箇所の距離の合わせ方、
裏地の型紙の作り方、3つのポイントについて解説をしていただきました。

まず、型紙をふくらませるとは、

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34-2017.2.4benkyoukaibrog-13三浦氏の場合は、そのプラス分を型紙の縫い代に足して作っているそうです。
足す分量はバッグの大きさや革にもよりますが、
今回のバッグですと3mmほど、胴の脇の縫い代、底の縫い代の中央に3mmを足してカーブした線に書き直し、ふくらみを加えます。
35-2017.2.4benkyoukaibrog-14マチの脇も同じようにふくらませます。その時に胴の脇のカーブを使うと良いそうです。

縫い合わせる距離の寸法が合っているかを確認するのも重要です。

36-2017.2.4benkyoukaibrog-15

実際に縫う状態のように型紙を重ね縫い代の針の落ちる位置を目打ちで押さえながら、縫っているかのように合わせて確認する方法を教えていただきました。
ポイントは、針の落ちる位置を出来上がりの線の少し外側にすること
0.5cmの縫い代なら0.4㎝の位置くらいにするとのです。これは革は厚みがあるので、印通りに縫うと小さくなってしまうからなのです。

そして、最後は今回のバッグで一番難しい裏地の型紙の作り方について解説していただきました。

37-2017.2.4benkyoukaibrog-16実は、どなたもこのバッグの裏地の型紙までは製作してこられませんでしたが、これは表の型紙を利用するという理由の方と、難しいとの理由の方がいました。三浦氏いわく、この形の裏地まとめ方はかなり難解とのこと。
三浦氏の考えた方法は、胴から天マチまでつながった状態のもの。つなげた形のラフスケッチを書いてくださり、型紙を合わせながらその作り方を解説してくださいました。

そして皆さん、以上の説明をふまえ、三浦氏の型紙も見ながらもう一度型紙作りに挑戦されました。

最後に、今回の型紙の勉強会の参加者にとって、三浦氏の職人さんにとって縫製がしやすく、無駄なく効率的できれいに仕上がる型紙の作り方に接し、新しい発見や驚かされる事も多く、とても有意義な勉強会となったことと思います。
また、日頃の疑問や、問題点を気さくに教えていただいたり、経験に裏付けられた明日からでもすぐに使えるヒントもたくさん教えていただき、感謝に絶えません。自分が苦労して習得した技術を惜しげもなく教えていただいた三浦先生、心よりありがとうございました。

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このレポートは、BagYardのワークショップで講師を務めていただいている高橋法子さんに作成していただきました。勉強会に立ち会い写真を撮っていただき、とてもわかりやすくまとめていただいていると思います。
勉強会のあとには、三浦氏、高橋さんも交えて簡単な親睦会も開かれ、参加者同士の情報交換や三浦氏のアドバイスも続き、充実した1日になりました。
参加者の皆さんは、教えていただいた事を復習、さらに応用し、今後の制作の幅を広げていただけたらと思います。また、今回の勉強会に出席できなかった方々も、このレポートを是非参考にしていただき、つまみポケットの作成にトライしてみてください!

半日で募集終了となった勉強会でしたので、三浦氏と相談し、6月以降に同様の勉強会を開催したいと考えています。参加希望の方は、HPのメルマガ登録やfacebookにいいねを押していただき、早めに情報をキャッチしてくださいね(^_^)/~