“雑材”メインの鞄メーカー (有)野崎製作所レポート

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確かな技術力を誇る(有)野崎製作所さんの工場見学をさせていただきました♪

1965年創業、足立区の自社工房にて“雑材”と呼ばれる生地×革付属を得意とする(有)野崎製作所さんは、OEM(相手先ブランド)の製造・販売を手掛けるかたわら、自社ブランド『INNFITH』も展開している進歩的なメーカーです。
現在、2代目社長の野崎芳行氏は積極的に機械を導入し、作業の効率化を進め、スピードアップとともにクオリティの均一化を図っているとのこと。加工を外部に発注するコストと時間のロスを考えると、機械を購入しても見合うと考え実行しているチャレンジャーです。また、コストも含めニーズに合うよう考え努力されているそうです。

長年培った技術、機械、若いスタッフたちの巧みな手により、美しく均一な仕上がり。その中にはたくさんの知恵も詰まっていました。本来企業秘密的な作業の裏側も笑顔で包み隠さず話してくださる野崎社長。
野崎製作所社長BagYardに協賛していただいており、“革よろず市”への材料提供や、勉強会へも積極的に参加されていて、その縁でバッグ作りを目指す若者が2名ほどスタッフとして働きながら技術を習得しています。
雑然としていながらも効率よく配置された機会や工具、若いスタッフが手を止めることなく黙々と作業する中、社長自ら実演をしていただき、製品が出来るまでの流れがわかるように説明していただきました。

 

鞄のハンドルをスピーディに美しく縫製

まずは丸手と呼ばれるハンドルができるまでの工程。
工程ごとの機械を使い分けながら、ものすごいスピードで仕上げていきます。

左写真は、ハンドル手カンを取り付けられ、下処理を施された革パーツ。白い補強材が貼られた部分に黒いチューブ状の芯を斜めにカットし差し込みます。革を折り返して手カン金具を挟んでいるため、両端を合わせて縫うときに革が厚くてとても力がいります。この部分の縫製は男性の作業とか。
その後、カーブがあるとは思えない速さでバンバン縫っていきます。

ハンドルを縫製

革パーツは始めから軽くカーブを描いており、仕上がりは緩い弧を描いた状態になります。こうすることでシワやひねりが入りづらくなるそうです。

縫いあがったハンドル

また、こちらも驚き!いちいち糸切りをせず数珠繋ぎ状態で最後の1本までミシンをかけて行きます。ぜったいこのほうが効率的ですよねー。

そして、ウインナーソーセージのように縫い糸でつながったハンドルは別の作業台へ移動。ハサミで切り離した後に熱コテで糸をカットしていきます。熱によりナイロン糸が溶けて結び目がほどけにくくもなるので一石二鳥です。
糸切り

余分な縫い代をカット、面取り、そしてコバ磨き

刃がついた高速のカッター機械で、幅を合わせ縫い代をカットしていきます。この時点でも切り口は2枚の革の張り合わせ痕が分からないほどピッタリとくっついていました。次に、面取りをしつつコバを磨く機械に移動。高速で回転する円形状の溝にはダイアモンドの粉が練りこんであり、瞬時に面取り&磨きをしてしまう機械です。磨きたい革パーツの形や幅によって数種の溝のタイプを使い分け磨いていきます。これで合わせの線は見えなくなり、摩擦で少しこげたような香りが漂っていました。この後目止めをかけコバ墨を塗って仕上がりとなります。
縫い代をカット

 

コバ磨き機械(高速で回転している円形状の溝にコバを当てて削っていきます)コバ磨きマシーン革の厚みや面取り具合によって変更する円形状のパーツ(木製のものもありますが、ダイヤモンドの粉を練りこんであるタイプのほうが効率の良い研磨が出来るとのことです)コバ磨き

コバ処理

手作業だった面取りも機械化!

目にも止まらぬ速さです!
かつては豆カンナなどを使い手作業で行っていた面取りですが、機械に差し込むやいなや設定の幅に両側カット&面取りをして飛び出てきます。溝の深さの違うアタッチメント付け替えで、削れ具合を替えることができるそうです。
これは作業の時間が飛躍的に短縮されたということは一目瞭然。

面取り
面取りしたもの比較

ネン引きも機械化で大変革

ネン引きはヌメ革の可塑性を利用した昔ながらの手仕事の一つで、右写真のように1枚革の両側にスジを入れることで“しまり”を出す技法ですが、右下の写真の工具を使用し、コバからの幅をネジで固定し1本1本慎重にネンを引いていましたが、左の写真の機械では両側いっぺんにネンを引けます。(ネンの深さや幅も変更できるようですが、残念ながら直線しかネンを引くことが出来ません)
ネン引きやテープカッターなど1つの工程に一つの仕事しかしない機械でも、あるとないとでは時間もコストも労力も疲労感も全て変わってくるのでコスパ的には見合うのでしょう。

ネン引き

細かい工夫が仕上がりを左右

この他にも、興味深い作業があちこちで行われています。
こちらはコンピューターミシンを使って鞄のハカマ(底の角部分)を縫製中だそうです。それだけ見ても何を縫っているのかわかりませんでしたが、型に合わせ数秒で縫いあがります。

底パッチ角パッチ
野崎社長は目からウロコの知恵と工夫を凝らし、機械を買わずして自作してしまったものもあります。
その一つはグログランテープに両面テープを貼るスゴ技!(野崎さんは伸び止めテープとして利用しているそうです。)
グログランテープ1巻きの両側を万力で固定し、針を抜いたミシンで両面テープを押し付けて一気に貼っていくというもの。面白いように合体された代物が伸びていきます。

どんどんミシンを走らす野崎社長の顔が嬉々としていて子どものよう♪
グログランテープと両面テープこの簡単なようで思いつかない作業も、数をこなし試行錯誤の連続だからこそ思いついたものだとおっしゃっていました。
下の写真は鞄の裏地と合わせてポケットを縫うのに、鞄の底板などによく使用されるベルポーレンの薄手のものを8mmほどにカットし芯材として利用されていました。薄いナイロン生地などのシワ防止策です。すばらしい!このひと手間がクオリティの高さに繋がるのですね♪
内ポケット

この他にもたくさんのアイデアや作業風景画がfacebookに動画でアップされていますので、是非、そちらもご覧ください。

野崎製作所facebook動画一覧ページhttps://www.facebook.com/pg/innfith/videos/?ref=page_internal

すっかり代替わりをしている(有)野崎製作所さんですが、この日は先代のお父様も縫製のお手伝い。きっと先代の時代から鞄作りに真摯に向き合ってこられおり、その姿勢が今に繋がっているのだと思われます。生産拠点が海外に移ってしまった現代、ポジティブに確かな技術力を守り続け、そして若者にも惜しげなく技術を伝承する野崎社長の姿勢には感服いたしました。日本のバッグ業界において末永く継続していっていただきたいメーカーさんだと思います。

自社ブランド『INNFITH』ご紹介

野崎社長は、忙しい合間にも意欲的に自社ブランドINNFITHの新作を発表し、販売されています。
(有)野崎製作所の公式ホームぺージやAmazonでもご購入いただけます。機能性が高くスタイリッシュ、そしてハンドメイドの温かみも伝わるオリジナルブランド。細部にまで拘り抜いた信頼ある鞄を一度持ったらやめられないかもしれません。

野崎製作所公式HP↓
http://www.nozakibag.jp/profile/
INNFITH

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